2010年秋冬パリコレ速報 Part5.

フィービー・ファイロは2シーズン目にして、 セリーヌ をよりモダンに再定義できたようだ. メンズファッションから引用したミリタリー調の春夏に比べ、秋冬コレクションはよりフェミニンでセンシュアルな女性像を打ち出した. 黒とネイビー、白をベースに、レースやモヘア、ツイードなど柔らかな素材を使ったブラウス、タートルネックベスト、ノーカラースーツ、タイトスカートなどが展開された. アイテムは一見どれもシンプルながら、大胆にスリットが入っていたり、シアーな素材とブラックレザーをコーディネイトしたり、とセクシーさをプラスした. そして、何よりも傑作だったのはアウターのコレクションだ. 上質なウールやレザーを用いた、60年代風のタイトフィットのコートやジャケットは、フィービーとセリーヌというコンビならではの美しさだった. ジバンシィ のリカルド・ティッシは、赤と黒をキーカラーにゴシックムードを演出した. 冨永愛を含めたモデルのヘアはプラチナブロンドに染められ、目元とリップは赤くメイクされた. ショーの前半ではテイラードをフューチャーし、ロング丈のコートやジャケットが登場した後、D&Gのショーでも見かけたようなノルディックセーターをモダンにアレンジしたニット、ダイビングスーツからインスピレーションを得たスーパータイトなドレスやパンツが登場した. 繰り返し登場した、ビジューがあしらわれたグローブとお揃いの小さなバッグは、今シーズンのアイコニックなアクセサリーとなりそうだ. オーバーシルエットだったり、ミッキーマウスを思わせる赤と黒のトロンプルイユのパンツスーツなどで、どこかユーモラスなショーを披露した ソニアリキエル . フィナーレではカーキやスモーキーピンク、アイボリー、ブラックカラーのフェザーコートに身を包んだモデルたちとナタリー・リキエルが踊りながら登場し、オプティミスティックなムードで会場を包んだ. アレキサンダー・マックイーンへの追悼の言葉を述べてショーをスタートさせた フセインチャラヤン . テイラードジャケットに帽子やフードを合わせたアノニマスなルックの後には、全面にクリスタルを施したイヴニングが登場した. また、サングラスには今シーズンのテーマである「mirage(蜃気楼)」のロゴが描かれた. 50年代のラテンブームの情熱が蘇ったような、ダンサブルなルックがキャットウォークを舞った今シーズン. マンボの音楽が聞こえてきそうなラッフルやポップなプリント、タンゴの妖艶な世界に陶酔したくなるゴシックでセクシーなスタイルは、モード界に情熱の風を吹かせた. そんな"踊れるモード"の提案に加えてラテンを語るのに欠かせないのは音楽とダンス. 作家、矢作俊彦のラテン論から音楽家菊地成孔がセレクトするラテンな音楽&映画の紹介まで、ラテンカルチャーが持ち合わせる官能的なムードとパッションをお届け. ファッションからカルチャーまで、VOGUE流ラテンの世界を堪能して. VOGUE JAPAN (ヴォーグ ジャパン)2012年3月号.