格安航空準備会社「リンク」、破産申請へ

藤井裕介】文化庁20日電子書籍海賊版対策や適正な流通のために検討してきた「電子出版権」を、紙の本を対象にした現在の「出版権」の範囲を広げる形で組み込む方針を固めた. 来年の通常国会に出版権を定める著作権法の改正案を提出する. 成立すれば、今の著作権法ができて以来、44年ぶりに出版を巡る権利が見直されることになる. 著作権法は、出版社が作家ら著作権者と契約し「文書または図画」で作品を独占的に発行できる出版権を定めているが、電子書籍は含まれない. 文化審議会の出版関連小委員会が、5月から、電子出版権の創設を検討してきた. 小委では、大手出版社などが「電子出版権を紙とは別の出版社が持つと、海賊版対策はできない」と紙と電子を一体とする、現在の出版権の範囲の拡大を求めた. 「作品を作るのに出版社もコストをかける. 『電子は別の出版社』となったら何のための苦労か」という考えもある. 一方、経団連などは、紙の出版権を持たない出版社の参入を促すため、電子書籍だけの出版権を設けるよう求めた. 文化庁は、「紙と電子を一体とする制度でも、契約で紙だけ、電子だけという対応もできる」と判断. 小委も20日、「紙と電子の権利が一体的に設定されていくことが想定される」とする最終報告書案を了承した. 新規航空の準備会社「リンク」(福岡市)が、自己破産を申請する方針であることがわかった. 来年3月に福岡―宮崎、福岡―松山、北九州―松山の3路線を計10往復する予定だったが、就航までに必要と見積もった22億円の運転資金を調達できる見通しが立たなくなった. 帝国データバンク福岡支店によると、負債は約9億円の見込み. 羽田と北九州などを結ぶスターフライヤー(北九州市)が当初は就航準備を手伝っていたが、今年に入ってスタフラ自身の経営が悪化. リンクは、もともと今年秋と見込んでいた就航予定を遅らせ、今年9月に交代した社長のもとで自力で福岡の地場企業を中心に資金調達先を探していた. しかし、「事業の見通しが不安定」として出資に応じるところはなく、これまでに大手運送会社などが出した10億円ほどしか集まっていなかったという. リンクは、燃費のいい機体でコストを抑えることを掲げ、「地方都市間を結ぶ格安航空会社(LCC)」をめざして昨年4月に設立. 約100人の従業員を雇って準備をすすめ、今年7月には国土交通省に航空運送事業の許可も申請していた.